『大人の付き合い』／『紙風船』

未来への期待。しかしそのためのほんのささやかな選択すら躊躇させてしまう不安。
幸せのための一歩のハードルが高まった時代を生きているような気がします。

今と昔、そんな一歩を踏み出せずに漂う男女を描いた二つの短編を上演いたします。

それぞれ戯曲の中には二人の登場人物しか居ませんが、戯曲の世界でも本当は現実と同じように外の世界があるはずです。同じように不安を感じ悩み時に躊躇し停滞しながらも、より幸せな未来を願っている僕たちのような誰かが生きているはず。

二つの短編を並べて上演し、俳優が登場人物として生きることで、きっとそれを見守る客席のみなさんも共感したりあきれたりもどかしくなったり、しかし二人の幸せのための一歩を願ってくれるのではないかと思っています。そんなみなさんの存在が二人の背中を押す力になり、二人だけの世界では得られなかった戯曲を越える可能性を生んでくれるかもしれない。そして劇場の外の世界には、みなさんの背中を押してくれる誰かの存在があるかもしれない。
そんな風に思える明るく楽しい空間を皆さんと作っていく。そんな創作にしたいと思っております。

avenir’e